脳神経筋センターよしみず病院
院長 神田 隆
令和5年4月1日から脳神経筋センターよしみず病院院長を拝命しました神田隆と申します。私は大阪市の出身で、1981年に東京医科歯科大学(来年から東京科学大学という名称になります)医学部医学科を卒業、2004年に山口大学医学部神経内科の教授に就任し、以降18年余にわたって県内の脳神経内科医療の向上に取り組んできました。このたび、教授職を辞して新しく生まれ変わった脳神経筋センターよしみず病院院長として赴任するにあたり、ご挨拶を申し上げます。
脳神経内科は、脳血管障害、てんかん、頭痛、認知症などのcommon diseaseから神経変性疾患、脊椎・脊髄疾患、神経感染症、末梢神経疾患、筋疾患などを診療する非常に守備範囲の広い診療科であるとともに、338指定難病の25%を受け持つ、難病に特化した科でもあります。従来、脳神経内科が担当する疾患のほとんどには有効な治療手段がなく、脳神経内科医は“治らない病気をいじくりまわしている変わり者の集団”と揶揄される状況が続いていました。しかし、時代は変わりました。世界中のメガファーマ、ベンチャー企業が、希少神経疾患を重点分野として新薬開発に“真面目に”乗り出しており、神経難病を治療することのできる薬が次々と上市されています。“治る”時代になれば、私たち脳神経内科医の責務はますます重要なものになってきます。関門地区には脳神経内科医が少なく、多くの神経難病の患者さんが適切な診療を受けられない状態が続いています。また、治ると言っても脳は脳です。脳はその人“そのもの”です。何か他のもので置き換えることはできません。そして、一旦障害を受けたことで一生障害をひきずる患者さんも少なくありません。したがって、急性期病院だけでは脳神経内科の医療は完結しません。脳神経センターよしみず病院は、神経・筋疾患の正確な診断から初期治療、リハビリから介護・看取りまでを一貫して行い、良質な脳神経内科医療を提供する病院として、全国に類を見ない存在になる可能性を秘めています。まずは神経・筋疾患の西日本の拠点を目指して、一丸となって前進していきたいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。